神の起源

SF+アクションというジャンルのJ.ロリンズのシグマフォース・シリーズは大好きだ。特に根幹となる科学ネタが興味深く、読み終わった後もこれ本当かよ、と思って題材を調べるのが楽しい。チェリャビンスクのカラチャイ湖(ウラル核惨事)はこのシリーズを読むまで知りもしなかった。

 

同様ジャンルのJ.T.ブラナン「神の起源」を読んでみた。

しかしかなりな期待外れであった。

まずSFネタがしょーもない。宇宙人。超古代文明。新しくも何ともない。まあ、良く言えば馴染みのあるネタである。

 

次にアクションの方がありえない。たいていのアクション映画はありえないし、シグマフォースでもありえないだろ!と言う場面が多いわけだが、この本は本当にひどい。

ヘリコプターから2回も飛び降りて無傷。椅子に拘束されてるのに吠えながら拘束具を引きちぎる。挙句の果て、武器携帯してないと思って油断してる敵に向かって口から矢を放つ。一体どういうことなんだ?本読んでもイメージできない・・・。サイボーグ004もびっくりである。

という感じで危機また危機に陥いる主人公がどのように虎口を脱するのか?アクションの醍醐味だと思うが、全く予想外の人間離れした解決をしてくれてハラハラドキドキが全くない。

 

まあ、話のテンポはいいので、勢いで一気に読めるのは褒められる。またオチが予想外で面白かった。主人公の名前を読み終わった後に見てなるほどな、と思った次第。本のタイトルも。原題はORIGIN(期限)。

 

 

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(ネタバレ)

全米大ヒットということで、ホラー好きな私としては、行くしかない、と思って見てきました。まー つまらない!!!途中で見るのを止めて帰ろうかとも思ってしまった次第。なぜこれが評判いいのか??

 

ピエロのペニーワイズが怖いと思ったのは最初の10分だけ。下水から主人公の弟に語り掛けるところは不気味そのもので秀逸。だがその後は大して怖くない。街の大人の方がペニーワイズよりよっぽど怖く、主人公たちや町のならず者の親とか結構イッちゃってます。娘に性的虐待する親、超過保護な親、猫を拳銃で撃とうとする子供に奇声を発しながら足元に銃を撃つ親。また町のならず者もトイレでウンコをぶっかけたり、ナイフで腹に名前を刻み込んだり。みんなペニーワイズに操られている可能性がありそうだが、本当に怖いのは人間だ・・・

 

主人公の少年たちも変。仲間の1人がペニーワイズのアジトに入るのを躊躇してるときに、主人公が「絶対に守るから!」と約束しておきながら、あっさりその当人を1人で先行させてしまい、案の定、ペニーワイズに襲われる。なんとか助けて1人で行動したらまずい!みんなで行動しなきゃ!と仲間内で言ってるそばから、主人公が1人で行動する。あほか!

ヒロインも親の頭を便座らしきもので殴って(恐らく殺して?)おきながら、ポートランドのおばさんのところに行ってくるわ、といって去っていく。あかんやろ!

主人公たちもペニーワイズのアジトに入るとき、襲ってきたならず者を井戸の底に突き落とし、そのまま終わってるし。これもあかんやろ!

 

昔、原作を読みましたが、たしか大人になってからペニーワイズと対決する展開だった覚えが。あれ、子供時代で終わってしまうの?と思ったら「第1章完」というエンディング。第2章あるのかよ・・・?

なんかアメリカでヒットしたことを受けて、本当に第2章作るらしい。驚き。

 

なお、原作は文庫本にして4冊という超分厚く、ストーリーはハッキリ言って面白くない(おっと、言ってしまった。まあ、だから映画化するとつまらないのだろうけど)が、スティーブン・キングの天才的な語りで長大な作品でも読めてしまいます。ITに限らず、大したストーリーじゃない作品でも最後まで読ませるキングは本当にすごいと思っています。

 

 

トイレ?なぜ?

NBA選手のCharlie Villanuevaさんが家に帰ったら泥棒に入られているのを発見。トイレまで盗まれていたということだそうです。

 

家に帰ってトイレがなくなっているという衝撃は想像を絶するものであり、考えただけで笑えてしまいます。これも他人事だから。自分だったら相当落ち込むと思われます。 

実際、Charlie Villanuevaさんのtwitterでショックを受けている様子が伺えます。

 

I’m still in shock of the things they stole 🤦🏽‍♂️🤦🏽‍♂️🤦🏽‍♂️🤦🏽‍♂️🤦🏽‍♂️ but the one that stand out the most is a toilet...... Bro a toilet, can’t get my mind off that. A toilet..... Wow 🚽🚽🚽🚽🚽

乱暴な訳:奴らが盗んだモノでまだショック受けてるわ~  でもやっぱり一番はトイレやで。兄弟、これ、頭から離れないで。トイレ・・・Wow!!!)

 

なぜトイレを盗むのか?ウォシュレットだった?でもその場合は便座だけでええやん?ひょっとしたら「18金」トイレだったのか?やっぱり金のトイレでもうんことか付いてるんでしょうかね?

 

トイレを盗まれて落ち込んでいるCharlieさん。そこに神様がやってきた。

神様「あなたが盗まれたのはこの金のトイレですか?それともこの銀のトイレですか?」

Charlie「いや、普通のトイレですが」

神様「よし!あなたは正直だから、このウンコをあげます」

Charlie「いらんわ!」

 

ちなみに実際使用可能な18金のトイレは存在するようです。


 

 

 

キャプテンサンダーボルト

本格ミステリを読むべく、図書館で我孫子武丸綾辻行人有栖川有栖あたりの本を借りようと本棚を見ていたら、ふと目についたのがこの本。「あ」行作家・阿部和重伊坂幸太郎の合作とのこと。阿部和重は聞いたことがなく、伊坂幸太郎は過去に1冊だけ読んだことがあるものの、あまり印象に残ってない感じ。この本は最近文庫化されたものであるため、興味を持ち、借りて読んでみた次第。

 

内容は荒唐無稽だが、読みやすく、会話のテンポよく進み、一気に読めます。ハリウッド製アクション映画のように、何も考えずに気楽に読めます。以前読んだ伊坂幸太郎の本と同様、すぐに内容を忘れそうな気がしますが・・・。

 

唯一メンターと呼ばれる謎の外国人だけは印象に残ります。会話はスマホの翻訳ソフトで日本語に訳されるため、口調は妙に丁寧。しかしやることはエグイ。すぐにネールガンで人を打ったり、毒物注入したり、日本刀で首斬ったり。映画レザボア・ドッグスマイケル・マドセン(Mr.ブロンド)を思い出します。(大好き)

 

それにしても登場人物の苗字が相葉とか井ノ原とか。ジャニーズか?

 

密室殺人ゲーム王手飛車取りの続編です。前作がクリフハンガーで終わったため、続きが気になって急いで入手しましたが、何事もなかったかのように、頭狂人・ザンギャ君・伴道全教授・044APD・aXeの5人が普通に別の推理ゲームをしている。今回は5人の中から出題者が1人・・・というパターンではなく、どうやら別のグループが似たような殺人ゲームを行っている模様。どういうことが行われているか、5人が推理するという始まり。〇〇〇〇ザ・ビギニングみたいに前作から時間軸が前に倒れたのか?と目を白黒。

ただ読んでいくうちに、前作とのつながりが分かってくる仕掛け。予想は見事に覆され、そんな甘いものじゃなかった。(苦笑)

ナントカゲーム(ハンガーゲーム等)といった作品は、正直映画見たり小説読んだりして、今まで当たった覚えがないが、歌野晶午の密室殺人ゲームシリーズはそれなりに楽しめると思います。どうやら3作目もあるようなので、入手して読んでみようと思います。

 

 

密室殺人ゲーム王手飛車取り

「7人の名探偵」を読み、しばらくぶりに本格ミステリを読みたいなあ、と思って手に取ったのが本書。

 

頭狂人、044APD、aXe、ザンギャ君、伴道全教授というハンドルネームでネット上でチャットしているグループが主人公たち。このグループはミステリ同好の士で、1人が自分の思いついたトリックを用いて実際に殺人を行い、残りの4人がその実行方法を当てるというゲームを繰り広げるだけの話。出題者=犯人で犯人は自明のため、トリック解明に焦点があたる。

 

設定自体は現実にはありえないだろう、と思ったりしますが、一概にそんな奴らはいない!と否定できないところがコワイところ。

 

出題者は順番に回っているため、メンバー全員がゲームのために罪悪感なく淡々と人を殺している。あまり登場人物に肩入れは出来ないが、お互い正体を知らず、ネット上のチャットで推理展開するため、会話文が多く、ああでもない、こうでもない、といった会話には違和感なく入り込めてしまう。被害者間の共通点は何か(ミッシングリンク)、密室、アリバイ、と幅広いトリックが用意されており、一気読みできました。最後の事件では色々とやられました。

 

なお、終わり方は次回に続く、いわゆるクリフハンガーであり、若干不満あり。かつて本格ミステリにこういう終わり方ってあったっけなあ?多分この終わり方じゃなくても続編は読もうとは思いましたが。

 

 

7人の名探偵

十角館の殺人」から30年。新本格ミステリ30周年企画として講談社から記念アンソロジーが出ている。

book-sp.kodansha.co.jp

私はしばらくミステリからは遠ざかっており、このような企画は関知するところではなかったが、たまたま家族旅行で電車に乗った時に、扉に張ってあった広告を見、麻耶雄嵩山口雅也我孫子武丸有栖川有栖、法月倫太郎、歌野晶午綾辻行人の豪華アンソロジー「7人の名探偵」が出ていることを知り、その日の夜、早速本屋に駆け込み入手した次第。

 

新本格を支えてきた7人の作家によるアンソロジーはメルカトル鮎、火村英生、法月倫太郎といったお馴染みの探偵ものに加え、山口雅也の落語風ミステリ、我孫子武丸歌野晶午のSF風ミステリ、綾辻行人のエッセイ風ミステリと非常にバラエティーに富んだものとなっている。

いずれも面白く、甲乙つけがたいが、個人的には我孫子武丸綾辻行人の作品が印象に残る。

 

我孫子武丸「プロジェクト:シャーロック」

IBM人工知能ワトソンは創立者のトーマス・J・ワトソンから名付けられたものでシャーロックホームズの相棒とは関係がないのだが、ここでは大量犯罪データによる教育で犯罪捜査に関する知能が向上し、事件解決していくというオープンソース人工知能シャーロックが登場する。このような探偵に盲点はあるのか・・・?といった内容で、個人的には見事なオチだと思った。

 

綾辻行人「仮題:ぬえの密室」

新本格の作家たちは京都大学推理小説研究会出身の人が多い(綾辻我孫子、法月、麻耶)のだが、彼らが大学在籍していた頃に聞いた幻の「犯人当て」を巡るミステリ?である。綾辻の奥さん(「十二国記シリーズ」「屍鬼」の小野不由美)等も登場し、完全にファンのための作品であり、内輪ネタに近いものがあり、非常に興味深く読めました。ちなみに私はこれを読むまで小野不由美綾辻行人の奥さんであることは知りませんでした。(恥)

 

しばらくミステリから遠ざかっていた私としては、また読みたくなってくるわけで困る次第。